CASE STUDY 01
自社サービスを運営すると、仕様書の外側に問題が出てきます。
無料不動産では、会員登録・掲載・検索を作った後に、本当に時間を使ったのは問い合わせ前後の状態でした。本人確認が未完了、掲載側の確認待ち、取引終了後の既存メッセージなど、実際の運営では『途中』が大量にあります。そこで見つかった問題を、次の受託開発で再利用できる設計ルールとして蓄積しています。
SECTION 01
無料不動産は、0円物件の掲載者と活用したい人をつなぐマッチングサービス
無料不動産は、0円で手放したい不動産を掲載する人と、その物件を活用したい人をつなぐために自社で開発したサービスです。一般的な会社サイトではなく、会員登録、物件掲載、検索、本人確認、問い合わせ、メッセージ、運営確認までを持つマッチングサービスとして公開しています。
開発前は、物件を掲載して検索できれば大枠は完成するように見えました。実際に仕様を詰めると難しかったのは、その前後です。誰なら公開できるか、誰なら問い合わせできるか、確認が終わっていない場合はどこで止めるか、取引終了後に何を残すか。画面より状態の設計が中心になりました。
SECTION 02
最初の学びは、本人確認と掲載確認を同じものにしないこと
本人確認が済んでいることと、その人が掲載する物件について必要な確認が済んでいることは別です。ここを一つの『確認済み』にまとめると、後から権限が分からなくなります。
無料不動産では、利用者本人の確認と、掲載・権利に関する確認を分けて扱う設計にしました。ユーザー側には難しい内部状態を見せすぎず、運営側では何が済み、何が残っているかを区別します。
マッチングサイトで審査機能を作るときは、『確認あり』という機能名より、何を確認し、その結果がどの操作を許可するのかを分ける方が安全です。
SECTION 03
問い合わせ受付と、メッセージ送信を分けた
物件に興味を持った人が問い合わせボタンを押した瞬間、必ずしも自由にメッセージを送れる状態へ進めるわけではありません。必要な本人確認や掲載側の条件が残っている場合があります。
そこで、問い合わせが存在することと、実際にやり取りできる状態を分けました。利用者は問い合わせの存在を確認でき、必要な条件がそろった段階で会話へ進みます。
この中間状態を用意したことで、『問い合わせは来ているのに条件未完了』『確認が終わったので会話可能』を自然に表現できるようになりました。
SECTION 04
物件が終了しても、既存のやり取りまで即時に消さない
掲載終了や取引完了後は、新しい問い合わせを止める必要があります。一方、すでにやり取りしていた利用者まで突然履歴を見られなくすると、確認や連絡ができません。
そのため、新規受付の停止と、既存スレッドの扱いを分けました。終了後も必要な期間は既存のやり取りを残し、その後に閉じる考え方です。
マッチングサイトでは『終了』を一つのスイッチにしない方がよいケースがあります。新規受付、閲覧、送信、管理者確認を別々に考えると運用しやすくなります。
SECTION 05
公開条件は、フロントのボタンだけで守らない
利用者が条件を満たしていないとき、画面から公開ボタンを隠せば一見動きます。ただしURLやAPIを直接操作された場合にも、公開できないようにする必要があります。
無料不動産では、本人確認や必要項目、画像、公開条件などをサーバー・データ側でも判定する考え方を取りました。見た目と実際の権限を同じルールへ寄せることで、画面だけを回避して公開されることを防ぎます。
SECTION 06
管理画面は『あとで付ける』より、運営開始前に最低限作る
会員や掲載が少ないうちは、DBを直接見れば運営できるように感じます。ところが、本人確認、掲載確認、問い合わせ、通報などが重なると、誰が何待ちなのか追えなくなります。
最初から必要だったのは、豪華なグラフではなく、確認待ちを一覧で見て、承認・差し戻し・停止ができる画面です。利用者が増えてから分析を足しても、運営の基本操作は公開初日から必要でした。
SECTION 07
新規物件は、いきなり全部入力させず『下書き→画像』へ分けた
掲載フォームで項目と画像を一度にすべて入力させると、途中離脱したときに何も残りません。そこで、基本情報を下書き保存してから画像掲載へ進める流れにしました。
マッチングサイトでは、入力項目を減らすだけでなく、途中保存できる単位を考えることも重要です。掲載情報が多いサービスほど、完了までの段階設計が離脱率に影響します。
SECTION 08
公開後に見つかった問題は、次の受託開発の設計資産になる
自社サービスを運営していると、仕様書だけでは見つからない問題が出ます。問い合わせ済みなのに導線が分かりにくい、未読が分からない、確認待ちの理由が伝わらない。こうした小さな問題が、実際の利用では大きく効きます。
当社では、自社サービスで見つかった修正や失敗を、次の開発で使える設計ルールとして蓄積しています。『問い合わせ済みなら問い合わせボタンではなく、やり取りへ進む導線へ変える』といった判断もその一つです。
SECTION 09
SEOも、公開して終わりではなくサービスと一緒に育てる
マッチングサイトは掲載ページ自体が検索流入の入口になることがあります。そのため、一覧・詳細ページのタイトル、canonical、内部リンク、インデックス対象を、サービス設計と同時に考える必要があります。
検索条件を無制限にURL化すると薄いページが増える一方、すべてを閉じると掲載資産を検索へ活かせません。利用者に意味のある一覧と詳細を中心に、Googleへ見せる範囲を決めます。
SECTION 10
この事例から、受託開発で最初に確認する項目が変わった
現在、マッチングサイトの相談では、いきなり必要機能を聞くだけではありません。誰が何を掲載するか、本人確認はどの操作の前か、問い合わせ後に誰が何をするか、取引が終わったら何を残すかを先に確認します。
これらが分かると、最小構成も見積もりもかなり具体的になります。逆にここが決まっていない段階で、チャット・決済・AI推薦を全部入れても、事業の流れは完成しません。
- 会員種別と、それぞれができる操作
- 掲載を公開するための条件
- 問い合わせを受け付ける条件
- 実際にメッセージを始められる条件
- 取引・掲載終了後に残すもの
- 運営が毎日確認する項目
SECTION 11
マッチングサイトは、機能の数より状態のつながりで完成度が変わる
無料不動産を作って最も大きかった学びは、機能を増やすことより、各機能の前後を矛盾なくつなぐことでした。本人確認、掲載、問い合わせ、メッセージ、取引終了。それぞれは単体でも作れますが、サービスでは一本の流れになります。
当社の受託開発でも、この流れを先に作り、最初に必要な範囲だけを公開する方針を取っています。実際のサービス運営で見つかった問題を次の設計へ戻せることが、自社サービスを持つ制作会社としての強みだと考えています。
QUESTIONS
よくある質問
Q. 無料不動産は実際に公開されているサービスですか?
はい。スメラギ・アライアンス株式会社が自社で企画・開発し、公開・運営している0円物件のマッチングサービスです。
Q. 無料不動産と同じ仕組みをそのまま使うのですか?
そのまま複製するのではなく、会員、権限、掲載、問い合わせ、審査などで得た設計ノウハウを、依頼いただく事業の流れに合わせて使います。
Q. 小さなマッチングサイトでも依頼できますか?
可能です。掲載・検索・問い合わせなど最初の取引に必要な範囲から始め、本人確認、決済、メッセージなどを必要な段階で追加できます。
Q. 公開後の改善も相談できますか?
可能です。実際の利用や運営負担を見ながら、導線、状態、管理画面、SEOなどを段階的に改善します。
参考資料
相場や仕様に関する数値は公開情報を参照しています。個別案件の見積額を示すものではありません。
START HERE
企画から公開までの全体像は「マッチングサイトの作り方」へ
費用や機能を個別に比較する前に、誰と誰をつなぐか、MVPをどこまで作るか、公開後に何を見るかを一つの流れで整理できます。
マッチングサイトの作り方を読む